何度読んでもいい本でした。
チームとして「勝つこと」と「人間形成」どっちが大事?という問いの答えは、
どっちも大事。
そんなことわかってるよという感じですが、いざ試合を前にすると勝つことだけがフォーカスされて勝利至上主義になってしまったり周囲へのリスペクトのない言動が出てしまったり…自チームでも他チームでも見かけます。よくない。
ダブル・ゴールを忘れないために以下覚え書き。
ダブル・ゴール・コーチ・モデル「勝利がすべて」モデルは、百害あって一利なしだが、単純に排除することは非常に困難である。私たちが望むような結果を出すためには、それを排除しようとするのではなく、よりよいものに置き換える方が有効だ。
勝利至上主義の代わりになるモデルとして、PCAは、勝つことを目指しつつ(一番目のゴール)、スポーツを通じて人生の教訓や健やかな人格形成のために必要なことを教える(二番目のゴール。ただし一番目のゴールより重要)「ダブル・ゴール・コーチ」モデルを考案した。
第一の目的:勝つこと
ポジティブ・コーチにとって、チームが勝つことは喜ばしいことだ。勝ちたいと思うことは決して恥ずかしいことではない。PCAは、非競争性を推進する団体ではない。世界が非競争的な社会であれば素晴らしいが、現実はそうではない。競争は悪いものではない。社会の一員として生きていく上で、効果的に競争する術を身に付けることは大切なことだと言えるだろう。
PCAは、勝つことは悪であるという考えを推進する団体ではない。勝つために頑張ることは、スポーツ体験の根幹をなす大事なことだ。勝ちたいという気持ちこそが、素晴らしい出来事を起こすのである。勝とうという強い気持ちがあるから、個人やチームは目標設定をして、その目標を達成するために努力できるのである。
勝ちたいという気持ちは大事だが、PCAは現代のユーススポーツで支配的となっている「何が何でも勝つ」というメンタリティーで指導することには、絶対に反対である。「競争」と「勝ちたいという欲求」自体は問題ではないが、それらが「勝利がすべてである」という考え方に落とし込まれてしまうと、大きな問題となるのである。
第二の目的:人生の教訓
ユーススポーツの真の価値は、グラウンドで頑張ることを通じて、人格形成に資することを子供たちが経験することである。その経験は将来、仕事・価値観・市民としての責任・家庭生活などにおいて活きてくる。ユーススポーツに参加する子供たちの中で、プロとしてそのスポーツをすることになるのは、ごく一握りだ。NCAAの統計を見ると、プロアスリートになれる可能性がいかに低いかがわかるだろう。
ほとんどの子どもたちは社会に出たら会社に勤めたり、起業したりして生活をすることになります。バスケットでご飯を食べていける人はごくわずか。その中でなぜバスケットに一生懸命になるかといったら、うまくできたという成功体験や、失敗や挫折を乗り越える経験、仲間と心を通わせて大きな力を生み出す経験をするためだと思います。実際にそう育ってきた方も多いと感じます。
人は、子供時代に培われた価値観、行動習慣などをその後も維持し続ける傾向があるそうだ。グラウンドで失敗した後に立ち直る方法を学んだ子供は、それを学ばなかった子供と比べると、その後の人生の大事な局面で失敗しても立ち直ることができる可能性が高い。
ダブル・ゴール・コーチは、勝ちたいという思いをもっており、勝つために頑張る。しかし、私たちは勝つことは目的全体の半分にも満たないということを認識している。人生で成功を収めるために必要なことを子供たちに学ばせるために、試合で勝とうとするのである。他ではなかなか学べないことを子供たちが学べるように、私たちは勝とうとするのである。
ユーススポーツ卒業時に、熟達の ELMツリーの三つの原則が子供たちの意識の中にしっかりと刻まれていたら、その後の人生で彼らがどのようなことを成し遂げられるか、とても楽しみだ。常に努力をし、学び、自己改善し続け、失敗しても(失敗を恐れる気持ちを感じても)前進し続けるということが習慣付けされると、大人になったときにも成功につながっていくだろう。監督であるあなたが勝者とは何かということを再定義し教えることで、選手たちへのはなむけとなるのだ。
結果的には、2番目のゴールを重要視したチームは1番目のゴールにも近づくという統計もあるそうです。ダブル・ゴール・コーチのざっくりとした考え方はこんな感じですが、中盤からは普段の練習からどんなアプローチ方法があるのかめっちゃ具体的に書いてあります。終盤2割は保護者のダブル・コーチ。保護者としてチームにかかわったことはないけど、そういうことかと思いながら読んでいました。気になる方は声かけてください。レンタルします。
改めて、徐々に自立がはじまるU12の時期の子どもたちとかかわることの重要性を感じました。みんなが力強く人生を歩めるように、そして勝ちという成功体験をつかめるように、コーチがんばる!
p.s.
小学生の頃はよく初日の出を見に行ってたなぁと懐かしかったです。蔵王山は登山道を登る道中で風景画を描いていた記憶があります。たまにはそういうまったりした日を過ごすのもありだな。海も山も近くにあるって最高。